2015年 5月授業づくり講座報告(2015.6.20掲載)
参加者:16名(学生 5名 現職講師・教員 6名 実行委員・顧問 5名)
<ゼミ代表者より 小堀俊夫さん(大学講師)>
東洋大生の参加が少なく恐縮しております。教育実習などの予定をおさえておくべきでした。
江川さんの5年目の報告は、学生に様々な示唆を与えてくれたと思います。以前なら、自分の勤務する学校で、先輩教師から教師としての技術、考え方を様々な機会に教え、伝えられたのですが、それが困難な今、このような機会に伝え合うことはとても大事なことだと思います。
石戸谷さんの授業づくりの視点はたくさんの示唆をいただきました。思えば、お互いに実践を見せ合う時がありませんでしたが、今日は聞くことが出来て良かったです。これを機会に今後は私も講座に顔を出していきたいと思います。
<報告者より 江川由香里さん(高校教諭)>
新しく赴任した学校での世界史の実践を発表させていただきましたが、教材研究や、先を見通す点に甘さがあったことを実感しました。それとともに、第一次大戦後の新しい国際体制という内容に、改憲や集団自衛権の問題を授業にからめ、「平和を維持すること」について考える授業を行ったことについて、その必要性と重要性を改めて感じることができました。授業の中で生徒が抱いた思いや疑問をこれからの授業でどう反映させていくかは今後の課題です。歴史を学び、その学びが現代社会の問題を考えるきっかけとなれるような授業をしていきたいと考えています。
交流の時間には、学生の方々とは、歳が近いからこそ共有できる悩みがあったり、その悩みが実は授業づくりをするうえで重要なことであることに気付かされたりし、初心に戻ることができました。ベテランの先生方からは教材を見る目や、生徒が疑問を抱くことのできる教材のあり方を学びました。“疑問をもつ感性”を身に付けることから生徒の学びは始まっていくのだと、その重要性を感じました。
<報告者より 石戸谷浩美さん(中学教諭)>
いつも教育実習生には、担当してもらう授業内容を、教科書の範囲で示します。まずは教科書研究から始めてもらうのですが、中学生レベルの教科書記述などわかっていると思っても、本当に理解できているか、疑問を感じることがあります。それはまた、教科書記述の問題でもあると思いますが、さらっと書いているものの、その背景が書かれていないものや、書き方に問題があるものもあります。
今回、中学地理の教科書(東京書籍版)の中部地方のコラム「原子力発電所のある地域」を取り上げ、若狭湾などに原発が集中している現状について、まるで当たり前のように書かれていることを、みなさんでツッコミを入れてもらいました。予想以上にいろんな疑問が出されましたが、これが授業づくりの一つの出発点になるという体験をしていただいたつもりです。中学生ならどんな疑問を出してくれるか、書き方に問題はないか、もっと書かれるべきことはなにか、と考えていくと、授業展開と必要な資料が見えてくるということです。
また、日本の原発政策を考える上で、他の発電方法との単純比較でメリット・デメリットを並べて終わるような「無責任な」授業をやめるべきだと思っています。原発立地に伴う地域の苦悩や住民投票などの闘い、補助金漬けの実態、被曝労働なしには成り立たない現実など、3.11以前から問題になっていることを、具体的な地域事例や外国の脱原発の事例など多面的に探っていく必要がある、という提案をしました。20分の報告の予定が、活発な意見交換で大幅に延びてしまいましたが、問題提起の意味はあったという手応えを感じることができました。ありがとうございました。
<参加者の感想> 一部抜粋
・授業の実践報告ということでとても具体的で明日から使える内容を教えていただき大変参考になりました。ありがとうございました。
・どのように授業を進めていけば生徒主体の授業ができるのかたくさんヒントをいただきました。今後の実践に活かしていきたいです。
・「教える」というより「考える」授業の大切さに改めて気付いた場でもあります。また、ディスカッションではこれから教師を目指すにあたってとても貴重なお話を伺うとともに、自ら考えることができました。
・授業づくり講座の後援をしている団体に所属していますが、実は初参加でした。自分が所属している支部の例会は教員中心の会になりがちですが、こちらは学生の参加もあり、お互い良い刺激になるように感じました。これからもこのような会を盛り上げていきたいですね。
・授業の内容を追っていく中で、自身の知識がまだまだ浅いことに改めて気付かされたので反省と共に、様々な方法を持って知識を増やし、深めていきたいと思いました。また「最近の実習生の気になるところ」を参考に、教育実習頑張りたいです。
・とても良い発表だったので、2名の先生方のお話をもっと聞きたかった。2時間構成で2名+グループでの話し合いには無理があったのではないでしょうか。また、あの構成を考えるならばグループで最近の悩みや感じていることを話し合ってアイスブレイクして、発表に入るともっと良い流れになるのではないかと感じました。
・自主的な運営の姿に大いに学びました。今後は、学生に講座の案内をしていきたいと思います。
<5月講座担当実行委員より 津田隆広さん>
今年度の講座は、授業づくり講座を続けるべきかを実行委員会で話し合った上でのスタートでした。そんな時期に実行委員長を引き継ぎ、自分の中では「挑戦」と位置付け、運営をしてきました。
5月講座は3年ぶりの他会場開催、大学生の自主ゼミ(他団体)との連携というまさに「挑戦」の象徴であると考えていたので、特に力を入れて取り組んできました。そのような中、例年は参加者が少なかった5月に16人も参加者があったことや、グループディスカッションを取り入れ、学生・若手教員・ベテラン教員が様々な思いや考え方を話し合えたことは良かったと思います。
ですが、30、40分という短い時間設定は、講師の江川先生、石戸谷先生にとっては厳しかったと思います。お詫びと感謝の気持ちでいっぱいです。そして、全体の時間が30分も押してしまったことは、大いに反省する部分です。実行委員同士のコミュニケーション、話し合いはまだまだ不十分であると思っています。私自身、今回の講座を運営・参加する中で多くの方のお話を聞くことができ、非常に刺激を受けました。後期の講座も実行委員や顧問の先生方とさらに「挑戦」し、より良い講座にしていきたいと思っています。みなさん、ありがとうございました。