日時:2012年6月23日(土)18:30~
場所:筑波大学附属駒場中・高等学校
内容:山田 耕太さん「生徒が語り考える日本近代史の授業」
【報告者 山田さんから】
今年度の日本史Aでは、1・2学期を通じ、生徒の小グループによる調べ&発表授業を試みています。生徒自身がテーマを選び、図書室などを利用して歴史の文献にあたり、プリントをつくって発表をする。さらに質疑応答を通じて考察を深めていく…
まだまだ課題は山積、日々試行錯誤しておりますが、教え込みでない授業の1つの型をつくっていけたらと考えています。
【報告を終えて】
歴教協千葉大会に向けた準備報告でした。生徒たちが自由に選んだテーマについて調べ発表し、議論する形式の授業を1学期を通じて行った実践です。
各クラスとも議論はそれなりに盛り上がりを見せるものの、クラス全体を巻き込んで…というのにはなかなかなりません。テーマが毎回変わるために、発表や質問担当とその他の生徒の知識量にかなりの差があることも大きな要因でしょう。その差をいかに埋めるか、部活に行事に忙しい高校生にいかに火をつけるか…そのようなことが議論になりました。
また内容面では、細かな事実にいかに目を向けさせるか、生徒にも根をおろしている近代化論をいかに相対化していくか、といった大きな課題も改めて浮き彫りになりました。
【感想】
◆今回の山田さんの報告は、生徒自身にテーマを決めさせ、調べ、発表させるというもので、とても意欲的な取り組みだと感じました。
報告後の質疑では、テーマのしぼりかたや、議論の進めかた、どんなふうに議論の素地となる歴史的な共通理解をもつかなど、さまざまな点が議論になりました。ご自身は、今回報告した実践はまだプロトタイプであり、課題があるのも十分認識なさっている様子でしたが、その課題を一つひとつクリアしていくことで、目標である、生徒自身が自ら調べ、発表したり、自らの歴史認識を身につけたりという、主体的な学習ができるようになる実践になっていくのではないかと感じさせられました。
当日は申し上げませんでしたが、6年間を見通して、どの学年で実施するかということも考えても良いのではないか、と思います。(A)
◆生徒が調べ、発表する授業ということで、どのような形式なのかと考えていたのですが、「やりっぱなし」にさせないための工夫が見られて勉強になりました。たとえば、1つのテーマに2つのグループが取り組み、1時間の授業の中で2つのグループが報告+質疑応答をする形式をとっていること、授業時間内に出た質問に対し、生徒自身が調べてから答えるための日が別に設定してあることなどです。
生徒が書いた感想の一部を読んだのですが、「沖縄に民族差別はあるのか?」という発表を受けて、「民族とは何ぞや?」という感想を抱いた生徒がいました。この問いに、発表担当者の生徒たちはどう答えたのでしょうか。私たちはどう答えるか。日頃の授業で答えられているのか。私たち自身も考え、学び続けていかなければなぁと感じました。この授業の内容は、最終的には冊子になるということなので、図書室等で冊子を見られるようになると、生徒にとって参考になるだろうなと思います。
今年始めた授業の形式ということですが、「なぜこの課題に取り組むのか」という点と、「その出来事と今の自分たちとのつながり」が見えるようになると、生徒の動きも変わってくるのかなと感じました。2学期はどうなるのか、またうかがいたいです。ありがとうございました。(I)