日本史部会2012年2月例会・感想

日時:2012年2月18日(土)18:30~

場所:筑波大学附属駒場中・高等学校

内容:実践報告「ナチスそしてアウシュビッツ」大泉雄彦 氏

参加:12名 

感想

◆ナチスだけではなく、日本、さらに現代の世界の問題も交えて、具体的なお話をうかがうことができ、勉強になりました。ありがとうございました。

 議論の中で印象に残ったのは、「一人の死だって悲しい」という言葉です。大泉さんが1989年にアウシュビッツで撮影したベッドの写真を見たとき、一日の「労働」を終え、ここにすし詰めになっていた人びとの姿が浮かびました。「なぜこのようなことが起こってしまったのか」という問いに、私はどこまでこたえることができるでしょうか。被害者の数を資料でなぞるだけではなく、生身の人間を具体的に見なければと改めて感じました。現地に行くことが難しくても、資料の切り口、提示の仕方等を工夫しながら、少しでも生徒に伝わる授業を目指したいです。(I)

 

◆ナチスのユダヤ人虐殺を含め、近現代史として残るあらゆる出来事は、授業では言葉の羅列で終わってしまいがちな印象が今まではありました。しかし、大泉さんの実践を聞かせていただき、“歴史”のままで終わらせてはいけないことを強く実感させられました。現代社会と繋げながら、いかに生徒に考えさせるか…、そのためには、生徒に何を学んで欲しいのか、といった教師の目的が明確でなければならないと感じました。

 また、戦争において“加害”の面を認識させることは、戦後責任と併せて授業でしっかり行っていかないといけないと思いました。私自身、まだこの時代を授業で扱ったことがなかったので、今後の授業づくりにおいて、とても考えさせられる機会となり勉強になりました。(E)

 

◆ナチスによるユダヤ人虐殺のみならず、ジェノサイドをテーマとする授業では、事件のもつ残虐性が強調されがちですが、大泉さんの報告は、事件に至るまでの背景をわかりやすくかつ丁寧に説明されていたので生徒たちもわかりやすかったのではないかと思います。また、“詩”の朗読を通じて情緒面から生徒たちを引き付ける実践方法は大変勉強になりました。ありがとうございました。(F)

 

◆先日、ある私学高校世界史の授業で使用された「『ナチス・ドイツの反ユダヤ人政策』を1933年1月30日ヒトラー首相就任から1945年まで、年表形式で50項目以上、日付とともに列挙したプリント」を見て、支配にからめ捕られていく様子に愕然としながら、今に重ねました。(例えば最後の方の項目、「1944年11月3日 ユダヤ人の暖房された部屋への入室禁止」、など絶句です…)

 今回、大泉先生の授業実践で、「あるドイツ人牧師の反省・懺悔(マルティン・ニーメラー)」の引用、ヒトラー、ナチスの年表グループワークや先生ご自身の撮影したアウシュヴィッツの写真など、「中学生にも実感を持ちやすく工夫すればここまで伝えられるんだ!」と思いました。ありがとうございました。(K)