社会科授業づくり講座2019年11月

日時:2019年11月24日(日)10:00~13:00
会場:東京学芸大学附属竹早中学校
  (メトロ丸の内線茗荷谷駅徒歩12分)
講師:川島啓一さん(高校教員)
テーマ:綿から見える未来
     ~糸紡ぎ体験を通じて、私たちの過去・現在・未来を考える~

参加費:500円(学生200円)

内容
綿繰り、綿打ち、糸紡ぎを体験し、綿に興味を持ってもらったところで綿の歴史をたどります。江戸期には日本各地で多くの和綿が作られていましたが、現在は国内生産は0%です。なぜ和綿は作られなくなったのでしょうか。綿からグローバル化の矛盾が浮かび上がります。最後は、日本社会の未来をみなさんと考えてみたいと思っています。


活動報告(2019/12/22掲載)

 

1.参加者 13名(講師含む)
    小:2名 中:6名 高:3名 学生:1名 特別支援学校:1名 

 

2.川島啓一先生(講師)より
 今回授業づくり講座にお呼びいただきありがとうございました。改めて自分の実践を振り返る良い機会となりました。皆さん、楽しそうに綿糸を紡ぎ出す作業に熱中されていました。スピードや効率ばかり求められる時代ですが、こういう、ゆるーい時間の中に、この先の日本を考えるヒントがあるように改めて感じました。糸と一緒に、人のつながりも紡ぎだされたら幸甚です。

 

3.講座参加者の感想

  • 身近な着る、身に付けるもの綿からスタートして江戸時代、産業革命そしてグローバル社会の今、未来へとつながる問題提起をふくんだ壮大な授業提案、ワクワクしてきかせていただきました。ありがとうございました。
  • 授業づくりのヒントを得るために参加させて頂きました。歴史の出来事を1つだけにするのではなく、横のつながりを考えると理解しやすい。綿という導入でも歴史や、当時の時代背景、人々の暮らし、そして、現在のグローバル化にあるデメリットと学ぶポイントが多くあり、生徒はここから気になる点を深く学んでいくことになると思った。将来をきっかけに生徒の好奇心を高めるような授業づくりをしたいと思った。
  • “わた”1つで、こんなにも社会を切り取る視点が生まれるのだと感じ、非常に面白かったです。どんな地域や年代も扱うことができるものという意味では、“わた”から人間の本質を見れる教材だと思いました。
  • いろいろなことに興味をもち、それを深めて教材化しているものをうらやましく感じました。体験だけでなく、最後は「重い話」までしっかりつながる流れをつくっているのは、すばらしいと思います。自分では、やりっぱなしのことが多いので…
  • 綿は歴史の中で重要なのに、あまりうまく扱えていなかったので、授業へのヒントをたくさんいただき、これを使って授業をするのが、とても楽しみになりました。川島先生がとにかく楽しそうに話をなさっていたのが、とても印象的でした。それでこそ、楽しい授業ができるのだなと思いました。アイヌの授業もどのようにしているのか、お話をきいてみたいと思いました。
  • 体験をしながら楽しくたくさんのことを学ぶことができました。綿花も今回初めて見ました。実物を見たり、体験をしたりするだけで同じことでも興味を持って学習できるのだと思いました。
  • 一つの事にこだわり自分が楽しみながら視野を広げていくという姿勢に学びたいと思いました。様々な実物を持って来ていただきありがとうございました。
  • ありがとうございました。イギリスの貿易史が好きでして、“綿”というキーワードに興味をひかれ、またトーク&チョークから脱したい気持ちで参加させていただきました。貧困問題やブラック労働にも関心があったので、今回の勉強は自分にとって本当におもしろいものでした。また参加させていただきたいと思います。
  • 今回は綿をテーマに、歴史・地理・文化のすべてにわたって実技も講演も全面的に展開していただいた。何よりも川島さん自身が楽しく意欲に学ぶからこそ生徒にも伝わり、生徒の好奇心を引き出し、意欲的なとりくみにつながっているのだと思う。衣食住全てにわたって生活と密着した学びの広がり、今後も他の人たち特に若い人たちに伝えていってほしい。

4.担当者より
 11月の授業づくり講座にご参加いただきありがとうございました。川島先生の“綿”をテーマに綿花から糸を紡ぐ体験や、自分たちの身近にも綿が使われたものは衣類だけでなく身近なスーパーに置いてある綿実油など生活の一部になっていることを学びました。そして、綿を紡ぐことが江戸時代、産業革命と時代が流れていく中で生産性の向上とともに貧困層の問題(海外における低賃金で過酷な環境で働く人々の実態がある)があることなど、知ることができました。“綿”を通して様々なことを伝え考えさせてくれる話ができるのは、川島先生自身が学びのアンテナをしっかり持っていて、好奇心をもって楽しそうに学んでいるからこそなのだと思いました。だからこそ、生徒たちにもそのことが伝わり、より良い授業につながるのだと思いました。川島先生の授業を通して学んだことを少しでも生かせるように今後の学びに生かしていきたいと思います。  (角之倉宏彰)