日本史部会2012年5月例会・感想

日時:2012年5月26日(土)18:30~

場所:筑波大学附属駒場中・高等学校

内容:笹川 和則さん

   「日本の進路を考えさせる7つの質問

    ―19世紀末から21世紀初めまでを扱う46時間の世界史―」

参加:10名 

【報告者 笹川さんから】 

 世界史Aの授業で、19世紀末の帝国主義の時代から、21世紀初めの今日の世界までを46時間で扱った。世界史とは日本を含むものだから、各時代で日本の進路を問う設問を7つ出して、生徒に判断をさせる場を設定している。46時間の授業プランと、7時間分の授業プリントを提示するので、歴史的思考力を育てるための設問を検討していただきたい。

【会場より】

 今回は世界部会からの「出張報告」です。日本史・世界史という枠組みをこえて学ぶよい機会です。みなさま、奮ってご参加ください。

 なお、飛び入りの参加も大歓迎です。初めての方もお気軽にどうぞ。

 


【例会を終えて】

5月は世界部会の笹川さんが、「現在までつなげて授業している日本史の先生は少ないのでは?」と「挑戦状」を携え、報告してくださいました。歴史的思考力を伸ばすために、という鳥山孟郎さんの問題提起を受け、2単位46時間の世界史授業の中に合計7つの設問を示し、「生徒に判断と意思決定をさせる場」をつくろうという授業実践報告でした。数年に渡って綿密に作り上げられてきた実践例だと感じました。

 どのような資料を提示するのがよいだろうか、どのような問いがより面白いだろうか、そもそも授業をどのような場にするかなど、「日本史」「世界史」という科目上の枠をこえて議論は盛り上がりました。

 

感想

◆報告を受け、歴史を生徒にとって他人ごとではないものにするにはどうするか、改めて考えさせられました。笹川さんは、世界史の授業を組み立てるにあたって、鳥山孟郎さんの実践を参考に、日本に関わることを中心に問いを立て、高校生に意見(B6版)を書かせて、次の時間に代表的なものを皆で読んで話をするという工夫をされていました。一方、私は日本史を中心に教えているのですが、生徒が日本列島と周辺の出来事を「自分ごと」と捉えているかといえば、必ずしもそうではないと感じています。「昔のことなんてどうでもいい」と考えている生徒も多数いるのが現実です。「どうでもいい」 で終わらせないためにはどうするか、今後も考えていかなくてはなりません。

 今回の報告は、世界部会からの出張ということで、刺激を受けました。自分自身が勉強不足だということを改めて感じ、笹川さんのレジュメにあった参考文献の中の1冊を読み返しているところです。日本史/世界史というのではなく、今後も議論を重ねることができたらと思います。ありがとうございました。(I)

 

◆世界史のなかで日本の進路を考えさせる笹川先生の授業は、自分が高校生だったら受けてみたい授業だなと感じました。7つの質問を通して、自分の意見・考えを書かせることに重点を置かれていることからも、考えさせる歴史の授業の一つの方法として大変勉強になりました。また、質問の仕方を少しひねるだけで考えの幅が広がることを実感しました。日本史を教えている者として、現代までを授業で扱えてないことに反省をしつつ、私も考えさせる歴史の授業を目指していきたいです。本日はありがとうございました。(E)